泣ける−ザック監督の「声の主」による、4年間の激闘記 #347

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

こちらの本を読みました。

「通訳日記−ザックジャパン1397日の記録」

通訳日記

サッカー日本代表 ザッケローニ監督の通訳を4年間務めた、矢野大輔さんの日記を書籍化したもの。
4年間、毎日日記をつけられていたとのこと。すごいですね。

内容は、なんというか、泣けます(笑)。
著者も書いていますが、結果が出せなかった代表チームは叩かれてもしかたがないです。しかし、そこに至る4年間に、指導者、スタッフ、選手の間でどのような葛藤や挑戦があったのか。それを(もちろん一部だけではあるけれど)知る事ができることに、サッカーファンとしては喜びを感じます。

いろいろなことを学べる一冊です。
・サッカーの戦術
・チームマネジメントのあり方、難しさ
・全ての責任を担う、「リーダー」の覚悟や姿勢
・・などなど。

指導者として、ザック監督が一流の人物であったこともよくわかります。
特に印象的なのが、選手とのコミュニケーション。
まず、相手の長所を観察して、徹底的に褒めて、大きな期待をしていることを伝えてから「会話」をスタートする。その上で、適切に、選手への忠告や課題、要求を伝える。コミュニケーターとしても一流です。

また、イタリア人なのに(だから?)本当によく人間の感情や変化を観察していますね。そこもすごく印象的。

ワールドカップでの敗因に関心がある方にも、本書には、中立的な筆致で様々な「手がかり」がちりばめられている気がします。

一つ思うのは、ザック監督は「セリエA(イタリア)」のクラブチーム監督としては、大きな実績がありますが、「大一番の3試合で運命が決まる」ワールドカップで代表チームを率いた経験がなかったこと、それが最後に響いたのではないかということ。

サッカーは多くの人に歓喜をもたらしてくれますが、その一方で本当に「残酷」でもあります。4年間積み上げたプロセスが、ワールドカップのわずが「3試合」で決まってしまうわけですから。

2014年のワールドカップ予選リーグ敗退は、私も本当に残念でした。
しかし、この本を読むことで、その背景やプロセスがどれだけ充実したものであったか、未来の日本代表に意義のあるものだったか、知る事ができて嬉しかったです。

選手とほぼ同年代で、気さくに話せる矢野大輔さんが、4年間通訳を務められたことも、このチームのコミュニケーションと意思疎通にどれだけ大きな効果があったのか、よく分かります。

「大輔は、私の日本での冒険において、ただの“声”であったわけではない。友人であり、最高の案内人として、新しく、そして美しすぎる世界へと私を導いてくれた。」(アルベルト・ザッケローニ)

ザック監督が本書に寄せたこの言葉の意味がよくわかる、そんな良書です。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

コメント

  • コメント (0)

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA


お問い合わせ

お問い合わせはこちら