ザッケローニの指導哲学から企業が学べること

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いよいよ、日本代表メンバーが発表され、ワールドカップモードになってきましたね。個人的には、「この選手を選んで欲しかった」という人は何人かいますが、それはさておき。

本日の日経新聞に「W杯頂点を目指して(1)ザックが磨く『日本式』」という記事がありました。その中で紹介されていたザッケローニ監督の言葉には、日本企業の現場でも活かせるマネジメント原則が沢山含まれますので、まとめてみたいと思います。

キーワードは、
① 「人」よりも「ボール」中心
② 重心は、「後ろ」ではなく「前」へ
③ 選手の能力を最大限に引き出す
の3点。

まず、最初の「ボール中心」についての発言はこちら。
「我々の対戦相手は(日本の弱点を身体能力の低さと見て)フィジカルで圧倒しようと“人”をつぶしに来るだろう。我々が目指すものは違う。ボールをいかに支配して動かすか。攻守とも中心にあるのはボールだ」(ザッケローニ監督)

個々人の身体能力や技量も重要ですが、そこを弱点と見て日本をつぶしに来ても無意味だと言っています。日本は、個々人の能力で勝負しようと思っていない、あくまで人と人の間でつなぎあう「ボール」の動かし方によって世界と勝負する、と言っています。

これは、個々人の知識や能力に依存したり、過度に評価をしすぎたりするのではなく、むしろ「関係性」「場作り」「仕事の進め方」など、人と人の協働によって生まれる価値によって勝負をし、結果を出して来た日本企業のイメージと重なります。

次に、こちらの言葉。
「これまでの道のりを振り返っても、日本の選手の特長が発揮され、いい試合になったのは、より前に重心をかけた時だった」(ザッケローニ監督)

サッカーで重心を前にするとは、より攻撃的に、前へ、前へという意識を持つということです。たしかに、日本のサッカーは、無意味な横パスを繰り返したり、無駄なバックパスを続けたり、そして何より守備的になり過ぎて守備ラインが後ろに下がりすぎたりするような展開で、強豪相手に善戦した例は殆どありません。体格に劣る日本人は、気持ちが守りに入れば入るほど狙い撃ちにされる、というリスクが高いわけです。

これは企業の現場でも一緒だと思います。既存の商圏や既得権益を守ろうとすればするほど、会社は窮地に陥ります。維持・管理よりもむしろ新規創造・創発へ、顧客のニーズに近い所へ、前へ、前へ重心をかけていく中で、働く人は健全な仕事ができて結果を出しやすくなります。

最後に、こちらの言葉です。
「監督の仕事は必勝のパターンや戦術を編み出すことだと思われているが、そんなものは存在しない。選手たちの能力を最大限に引き出す。そこに全精力を傾けるのが私の仕事のやり方。」(ザッケローニ監督)

これも、まさに企業にあてはまります。経営者や事業部のリーダーは、社内外から「必ず勝てる戦略や方法論」を期待されやすいですが、これだけ事業環境が複雑に変化する時代に、絶対的な解など存在しません。 むしろ、大きな方向性の中で、社員や部下の能力が最大限に発揮できる環境や条件を用意してあげること。そうすることで、自ずと現場から結果が生まれやすくなる、というのが原則です。

■ 個々人の能力よりも、「人の連動による仕事の質」にこだわる
■ 守備的に、後ろ向きに、ではなく「前へ、未来へ」重心をおく
■ リーダーが絶対解を探すのではなく、大きな方針の中で社員個々が能力を最大限発揮できる環境を整える

日本のサッカーだけでなく、日本の企業が成果を出すためのヒントを、ザックの「日本サッカー論」に見いだすことができます。ワールドカップで、その信念と哲学が実を結ぶ姿をぜひ見たいですね。

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