「企業家」のプレゼン、「サラリーマン」のプレゼン

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昨日書いた内容ともつながるのですが、自分がとても大切だと日々思っていることです。

企業でマネジメント人財育成(次世代経営リーダー育成)のプログラムを実施する際に、最終フェーズで「提言」なるものを参加者(選抜若手リーダー)が経営層(社長や取締役)に対して行うことがよくあります。講義で学び、徹底議論した内容を土台に、経営の視点で、「新事業案や改革案を提言する」というものです。

その場で、歴然と差が出てしまうのが、(誤解を恐れずにいえば)「企業家」マインドを持った人のプレゼンと、「サラリーマン」意識が抜けない人のプレゼンです。

一言で言うと、何が違うのか。それは、

サラリーマンは、評価を受ける為にプレゼンする。
企業家は、望む方向にコトを動かすためにプレゼンする。

という違いです。

会社に勤めている場合でも、将来経営を担う人材は、

「こういう事業に取り組みたい。」
「こういう課題を、こういうやり方で解決してみたい。」
「経営層に直接時間をもらって話せるこの場で、これを伝えて、こう動かしていくための支援や承認がほしい。」

という想いをもっています。これがまさに「企業家」の本分だと思います。何か価値のある「企て」をして、「事業」を起こしていく、ということです。

一方残念ながら、「企業家」ではなく「サラリーマン」的なマインドで話しをしてしまうと、「提言/プレゼン」というよりも「秀逸な発表」で終わってしまいます。「話した事に対して、何か評価や感想がほしい」というスタンスです。

私は、人財育成プログラムで経営層への提言/プレゼンをしてもらう場合には、準備段階で

「プレゼン後に『起きてほしい行動』を明確にイメージして」
「伝えたい最も重要なメッセージ(最大3つ)を明確にして」

もらうことを徹底します。

起こしてほしい行動とはたとえば、「担当事業部の責任者に、直接提言する機会を与えてもらう」あるいは「新しいプロジェクトの設置を次回役員会で検討してもらう」など、自分のプレゼン後に「相手に起こしてほしい」行動です。その行動を呼び起こす為の、強いメッセージや仕掛け(Call to action)がプレゼンの肝だと思います。

プレゼンの枚数や奇麗さは、はっきり言って二の次、三の次。正直、どうでも良いです。

「伝える」「動かす」ことこそが本質です。

1990年代後半に瀕死のIBMを再建したルイ・ガースナーの著書に象徴的なエピソードがあります。当時、IBMの会議ではオーバーヘッド・プロジェクター(透明のシートに書いて、プロジェクターに投影して話す、というあれですね)を多用していたのですが、ガースナー氏は歩み寄ってプロジェクターの電源を切って、こう言ったといいます。

「事業について話をしよう」

このことは、全社にまたたく間に知れ渡ったそうです。ガースナー氏は、大量の見栄えのよい分析・計画資料はあふれているのに、何一つ「実行」に移っていないことが、IBMの危機の最大の原因だと気づいていました。

「望む方向にコトを動かす為にプレゼンする」

もちろん、「その会社をなんとか良い方向に変えていきたい」という想いがあれば、という前提です。もし少しでもそういう想いがあるなら、「プレゼンテーション」、特に経営層への提言というのは、物事を大きく動かしていくチャンス。ぜひぜひ、そのチャンスを「企業家」として活かしてほしいと切に思います。

会社変革の「ヒント」は、役員会の会議室よりも、最前線で躍動する現場のリーダーの皆さんの中にありますから。

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