昨今のドラッカーブーム?のおかげで、クレアモント大学院ドラッカースクール卒業ということで、講演やセミナーのご依頼を数多く頂くようになった。
そこで、よく聞かれること。
「『もしドラ』の次に、何を読めばよいでしょうか?ドラッカーでおすすめの本は何ですか?」
正直、こういった質問は、非常に困る。
そういう場合は、このようにご質問するようにしている。「 あなたは、マネジメントにつきどんなことで本気で迷い、何についての答えを探していますか?」
率直に言って、ドラッカーのメッセージというのは、「真剣に組織のあり方や意思決定について悩んでいる人」にしか伝わらない。経営者あるいは経営層の方に昔からドラッカー愛好者が多いのはそのためだ。ドラッカー自身、経営トップの視点で提言を書いている。
もちろん、若い方でも本気でドラッカーの提言と格闘している方もいる。その方は、役職や年次は下でも、本気で組織全体の成果や社員の幸福を考えている人で、ドラッカーが「真のエグゼクティブ」と称するタイプの人たちだ。日本ではエグゼクティブというと役職を意味するようにとらえられがちだが、実際は、「組織全体の成功に責任意識を強く持ち、実行(execute)する人」という意味が正しい。
一方で、経営者でない人たち、中間管理職の方の中には、「ドラッカーを読んでみたけど、分かりきっていることばかり書かれている。別の研修会でも教わったことが多いし、課長になって以来ずっと実行していることが多い。」といったことを自信満々に語られる方も多い。
お気持ちは分かるが、本当に「根っこ」の部分からドラッカーの言っていることを理解されていれば、ずっと中間管理職のままで長い年月いらっしゃることなどありえない。
私が存じ上げている経営リーダー(お若い方も含め)で、本当にドラッカーの提言していることを、実践されている方は、部下/顧客/上長からも強い支持を受け、結果として成果も上がり、確実に高いポジションにまで昇格されている。(ご自身はそういう意図がなくとも、必然的にポジションが上にいく方が多い)
字面だけ読んで、「ああ、当たり前のことだ」と安易に考えず、ドラッカーという経営学者がある意味人生と命をかけて探求した「人と社会と組織を幸福にするマネジメント」の本質をじっくり悩みながら多くの人に、深く理解いただきたい。
また、微力ながら、それをお手伝いするのも自分の役目だと感じている。
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