「どこで、そんな言おぼえた?そんな言葉使っては、だめだぞ。」
時々、小1の息子にしかることがあります。昨晩も、そんなやりとりがありました。本人は殆ど意味が分かっていない中で話しているような言葉でも、大人からみたら非常によろしくない、不適な言葉であることがあります。
そういう言葉を聞いた時は、厳しく注意します。先生や目上の人に対して、間違ってもそういう言葉は使うなよ、と。本人は意味がよくわかっていないので、少しかわいそうなのですが。
どこでそんな言葉おぼえているのかなーと妻と話していて、「テレビのヒーロー番組」がやはり候補にあがります。以前息子がよく観ていた仮面ライダーシリーズなど。私が観ても、昔のヒーロー番組と全然違う。サスペンスもの?かのように話が複雑で、使っている言葉も現代風なのか、非常に「よくない」ものが多い。
イケメン俳優を使って、「ママさん世代」もターゲットにしているという話も聞きますが、もう少し視聴する子供達への影響を考えて欲しい。
この話で、10年前、米国の経営大学院で学んでいた頃、教えてもらったことを思い出しました。
「倫理ジレンマ(Ethical Dilemma)」についてです。
すなわち、
「違法ではないけれど、倫理観的には『グレー』である事柄に対し、リーダーとしてどう基準を定めて、けじめをつけていくか」
という考え方。
私が授業で読んだケースで印象に残ったのは、やはり「視聴率30%を超える大人気子供向けアニメ番組のプロデューサーと放送会社の経営者」の話(実話)。
その大人気子供番組にはやや暴力的なシーンや言葉が頻繁に出てきます。その結果、「視聴した子供の言動に少なからず悪影響がある」という調査結果が発表された。さて、そのような時に、その番組のプロデューサーや経営者であれば、どう判断するかという話(ざっくりいうと)。
もちろん、奇麗に言えば「すぐに番組を中止すべきだ」とか、「内容を変更すべきだ」とかあるわけです。しかし、この番組にとってそのような「ギリギリの表現」が視聴率の稼ぎどころであったり、経営的にもこの番組の視聴率が下がると非常に厳しくなったり、いろいろな「ジレンマ」があるから判断が難しい、というものです。プロデューサー自身も住宅ローン、子供の学費などお金が一番必要な時期であり、また、キャリアとしても一番「名声」が大切な時であったり、と悩ましいところ。
こんなジレンマのケースで、あなたなら、どう対応するか。
これが「倫理ジレンマ」です。
テレビ番組の例以外に、現場でよくあるのが、
「期末の利益確定の為の『押し込み』営業」
「無謀な要望を確約しての『情報システム受注』」
「(法にふれない範囲であるが)過大な広告」
など。
どれも、利益や結果が欲しい為に、「美意識」を犠牲にしても、それをとりにいくという行為。
もちろん、ビジネスだから、ある程度「ギリギリ」のところまではしかたがないということもあります。私自身もビジネスマンなので、それは十分わかります。
なので、倫理ジレンマの判断基準は、全て「当事者(リーダー)本人の判断軸」に委ねられます。だから、この「倫理ジレンマ」の授業の議論は世界各国から来た学生の価値がぶつかりあう、面白い、しかし終わりのない、なかなか骨の折れるものでした。
息子との会話から、そんなことを思い出しました。
ビジネスと倫理基準を見事に両立させている素晴らしい会社も世の中には沢山あります。
そういう会社の良さが改めて注目されるべき時代かもしれません。
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