今朝の日経新聞スポーツ面にこんな内容の記事が載っていました。
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「監督にとって最も重要なことは何でしょうか」。
1年前のオフ、Jリーグ湘南ベルマーレの曺貴裁監督は、ドイツブンデスリーガ1部のライプチヒでスポーツディレクターを務めるラルフ・ラングニック氏に尋ねた。
ブンデスで輝かしい戦績を残してきた名将は、
「チームを勝たせること」
とは言わなかった。
言うまでもないことだろう、という表情でこう即答したという。
「選手を成長させること」
曺貴裁監督は、それを聞いて我が意を得たりと頷いた。
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なるほど。
頭ではわかっているけど、目の前の結果を出すことに追われて、
人を成長させるという仕事は後回しになりやすい。
後回しにすると、短期的には結果を何とか残したとしても、継続できない。
継続できないから、ますます短期的結果に追われて、人を成長させられない。
人もその環境でモチベーションを失い、離れていってしまう。どこでも起きやすい、チームが上手くいかないパターンです。もちろん、これは子育てでも同じですね。
しかし、ここである疑問が湧いてきます。
「成長、成長って言うけど、じゃあ、人の『成長』って一体何だ?」
と。少なくとも私は以前そんな疑問にぶつかりました。
数字を上げられるようになることが成長なのか?
知識や技能をたくさん身につけることが成長なのか?
はたまた、大人としてわきまえて振る舞えることが成長か?
真剣に考えると、なかなか答えは出ません。
その疑問をある学校の先生(教育学のプロフェッショナルでもある)に聞いたところ、このような答えが返ってきました。
「教育において、成長の定義とは、『自立』と『協調』です」
明快です。
昨日まで自分ではできなかったことが、今日は自分でできるようになる。
親、教師、監督、上司の指示を仰がなくても、目的や状況を考え、自分で判断して行動できるようになる。
こうなることで、上司の管理下から離れても、自分自身で成果に結び付く行動をとれる。必要な知識・技能も「与えられるのを待つ」のではなく、自分から積極的に取りにいける。
経営的に言えば、「管理コストが大幅に下がり、意欲的・主体的に取り組む仕事が増え、生産性が上がる」ということになります。これが、まさに自立です。
同時に、自分が自立するだけだと組織としての力は最大化されない。
そこで、
「他人の力や知恵を生かし、融合、協力して成果をあげる『協調』」
もできるようになることが大切。協調できる人が増えれば、無駄な人間関係のトラブルや非生産的なコミュニケーション漏れによるトラブルが減ってくる。何より、人が働きやすいチームになる。
ビジネスにおいても、人の育成に迷ったら、
このような「教育の原理原則」に立ち返ってヒントを得ることも有効です。
今日より明日、明日より明後日、
「メンバーが成長できるために、自立と協調ができるようになるために、自分はリーダーとして何ができるか?」
これが、何より重要な問いなのかもしれません。