先週金曜は、大手町金融ビレッジという素敵な建物で、
講演させていただきました。
・経営学(MBA的な科目体系)
・ドラッカーの経営理論
・リベラルアーツ(一般教養)
これらのテーマがどういう構造で繋がっていて、
身につけるとどういうリーダーシップを発揮していけるか。
そんなことを50分ほどスライドをつかって私が語り、そのあと主催者のアゴス・ジャパンの
横山社長と、来場者の方と意見交換する、そんな楽しい場でした。
会の最後に、ご参加者からの質問タイム。
こんな質問がありました。
「若手メンバーとは価値観や考え方が根本的に違う。性格も個性もばらばら。いったいどういう風に彼らと接し、どうモチベーションを上げてよいかわからない。」
といったご質問でした。
これは、企業ではよく言われることですね。
「若手にはこんな話し方をするとよい」
「若い世代の価値観を理解しよう」
「いや、厳しくすべきところは、厳しくすべきだ」・・
などなど、いろんな意見があるはずです。
僕自身は、当日の会では、こう答えました。
「世代が変わっても、人間にとっての喜びややりがいの根本は、大きく変わらないと思います。」
そして、
「違っていることに心乱されてしまうよりも、共通している点に注目して、そこを突破口にすると良いのではないでしょうか。」
ともお伝えしました。
実はこれ、当日のテーマでもある「リベラルアーツ」とも関係があります。
結局、時代が変化しても、技術が進化しても、多種多様な個性があっても、
「人にとっての喜びや生きがいとはなんだろう?」
という超根本的な問いこそが大切です。
たとえば、会社に所属する人にとっての喜びとは、
• 自分を信頼してもらい、価値のある役割や責任が与えられていること
• 自分独自の強みや能力を発揮できていること
• 誰か(特に顧客)に貢献し、感謝したり評価してもらえること
•同僚や顧客と信頼関係が築けること
そして、
•仕事の目的に共感できること
といったことです。
人が無意識に喜びややりがいを感じる理由は、昔もいまも大きく変わりません。
金髪だろうが、ピアスをしていようが、ゲーマーだろうが、それは変わらないはずです。
マネジャーは、これらの中のどれかひとつでも、部下やメンバーが感じられるよう
舞台をととのえ、支援し、導いてあげることが仕事になります。
それができれば、管理をしなくても、メンバーは自発的に働くようになるので。
その相手のことを好きだろうが嫌いだろうが、関係ありません。
自分が関わる部下やメンバーが、「生産的に、前向きに仕事ができる環境を整えられる」人が真のマネジャーです。
そういうと、
「いやいや、それは綺麗事。たとえば、最近の若い社員は昼食も1人でとりたがるし、職場での関係なんか求めていないよ。僕らの時代とは全然違う」
というベテラン社員の方もたくさんいます。
たしかに、技術の普及で個人主義的な風潮が進んで、大勢の人と一緒に同じような行動をすることを嫌がるひともたくさんいます。
(僕も、そういうことありますので)
しかし、それでも、です。
誰しも、自分の価値観やスタイルに合うかたちであれば、身近なひとと信頼関係を結びたいと考えています。
ただし、従来のスタイルを押し付けられるのではなく、自分独自のスタイルでそうしたい、というだけなのです。
また、顧客に貢献することについても、
「組織でやっている仕事が大きすぎて、若手の仕事は歯車的なものになってしまう。顧客に会う機会もない。なかなか顧客から感謝されるという経験はさせられない。」
という人もいます。
本当にそうでしょうか。
顧客は社外のお客様に限りません。その部下の仕事を「買って」くれる人は、もちろん社内にいても、誰もが顧客です。
自分自身、サラリーマン時代に心がけていたことですが、
「〇〇(相手の名前)の作ったあの資料、□□部のA課長がすごく助かる!って喜んでいたぞ」
とか
「今日のプレゼン資料のおまえが作ってくれたあの表、お客さんの部長さんが、『これわかりやすい!』って感動していたよ」
などと間接的にでも「顧客に感謝される体験」に導いてあげることは可能です。
どんなに気難しく斜に構えている技術者であっても、こういう言葉でモチベーションが下がる人はいません。
「明日も、もっと頑張りたいな。もっと貢献したいな。」と少しでも感じるのが、人間です。
大切なのは、
• 違うことよりも、共通していることに目を向ける
• 人にとっての喜びの源泉は、古今東西変わらないことを認識する
•部下がその喜びを感じやすいよう、上長がお膳立てしていく
ということ。
これは、「人に優しく」という情緒的な話ではなく、
組織が健全な「成果」をあげて、儲かる体質になっていくために重要です。