かなり世間的には遅れていますが、こちらの本、ようやく読みました。
出光興産創業者の出光佐三をモデルにした「国岡鐡造」を主人公としたベストセラー小説「海賊とよばれた男」。
大反響を読んだ本ですので、その内容や評価は、すでにあまたある書評やレビューに譲るとして。
やはり、気づかせされることが多かったです。
もちろん、その内容全てに共感できるわけでもないのですが。
自分の備忘録として、この本を読んで率直に感じたことやキーワードを記しておきたいと思います。
(詳細な説明は割愛)
・「人」を信じ、育てることが、最強の経営資本になるということ
・自社の利益を超えて、国家、社会の為に事業を興す、事業を活かす、ということ
・大義、正義、志、倫理観が、組織を動かす最も強い「エンジン」となるということ
・人間尊重の経営を徹底するということ
・近代経営理論と真逆の経営方針がもたらす強さ
(タイムレコードなし、定年なし、馘首(クビ)なし、労働組合もない、そして株式上場もしない)
・日本人としての志、良さを持ちつつ、海外の良い面はどんどん受け入れ、協力する姿勢
・社員も決して「ぶらさがる」ことなく、リスクをとって挑戦する事業家精神を忘れない会社
・ストレッチした目標やゴールが、組織の本当の潜在力を高めるということ。人間の心が一つになることで、誰もが無理だと思っていたことが成し遂げられるということ
会社とは本来、共通の志を持つ人間同士があつまり、共通の目的に向けて貢献し、助け合い、成果を上げるものです。最近の経営理論や経営学的な常識の中で、忘れられてしまいがちな、この「会社とは本来、一体何か」ということを気づかせてくれる本だと思います。
誤解を恐れずに言えば、グローバル化という名のもとに、「多国籍化」「グローバルスタンダード化」自体が「目的化」することはおかしいと常々感じています。
世界が日本に求めているのも、日本企業が、日本企業のアイデンティティをしっかり守りつつ、世界で協業していくことのはずです。
主人公が晩年にかたる、
「私は、人間を信頼するという考え方を広めていくことこそ、日本人の世界的使命と言っています」
という言葉は、強く心に響きます。
100年以上続く会社が、世界で一番多い国、日本。
そこから世界に発信できる「経営思想」は必ずある。そういう想いを再確認させてくれる本でした。
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