最新号の雑誌「Number」は、ワールドカップ特集。
やはり、買ってしまいました。
日本代表選手のインタビューも興味深い。
ああ、この選手はこんなこと考えているのか。こんな壁にぶつかって、乗り越えてきたのか。などなど、一流サッカー選手の内面にふれ、違う観点から応援できるようになります。
今回の特集の後の方に、別の興味深い記事がありました。
日本代表の初戦の相手、コートジボワール代表監督のサブリ・ラムシ氏と中田英寿氏の対談記事です。2人は、セリエAのパルマ時代の元チームメート。ラムシ氏は元フランス代表で、セリエAのインテルでザッケローニ監督の下でもプレー経験がある人物。
面白いのは、ラムシ氏は、監督経験ゼロで、いきなりタフなアフリカのコートジボワール監督に、しかもワールドカップ予選の初戦の2日前に就任したということ。
しかし、現役時代から「インテリジェンス」(知性)の高さで評価されていた同監督は、そんな強烈なプレッシャーもはねのけ、見事予選を突破します。
記事の中で、私が注目したやりとりは、下記。
中田氏:(予選初戦の)試合が2日後だと、できることはほとんどないのでは?
ラムシ氏:でも結果は求められる。選手は僕が望んだメンバーではなかったけど、僕も選手や国民に望まれた監督ではなかった。若い上に実績がないんだから、悲惨な状態だったよ。 (中略) アフリカではすべて早急。政治でも経済でも、明日はどうなるかわからないから、人々は目の前の結果を欲しがるんだ。
(中略)
中田氏:すごいプレッシャーだろうね。でもだからこそ監督になった最初の試合で勝ったことの意味はすごく大きかったんじゃない?
ラムシ氏:もちろん。負けたらすぐに解雇される可能性が高いのは最初から理解していたから、僕は与えられた2日間で、なるべく現実的で効果的なことをした。それは一人ずつ顔を合わせて、相手が考えていることを聞き、僕の考えを話すこと。一番伝えたかったのは、僕が選手全員をリスペクトしていて、全員が同じスタート地点にあるということ、そして何よりも規律を大事にしようということだ。」
自分に与えられたたった2日で、「知将」ラムシ氏が「最も現実的で効果的なこと」として選択したのが、一対一で、心の底から考えていることを選手と話し合うということ。人間と人間がチームを組んで結果を出す為に、最も基本的であり、忘れがち、だけど何より大切なこと。それを改めて気づかせてくれる気がします。
どんなに卓越した戦略、戦術が描かれていても。
どんなに能力の高い個人がメンバーにいたとしても。
まずチーム内の人間と人間が考えを理解し合い、お互いをリスペクトする(好きになる必要はないが、リスペクトは必要)ことができなければ、チームでの成果は上がりません。
監督未経験で、しかも予選本番開始直前に、超過酷なアフリカの代表チーム監督に就任したラムシ氏。
その深い知性と、リーダーシップにも注目です。(もちろん、日本を応援はしますが)
この記事へのコメントはありません。