推薦いただいた、この本を読んでいます。
「データの見えざる手」(日立製作所 中央研究所 矢野和男 著)
最初は、日立という名前を見て、「ビッグデータの宣伝的な内容かな」くらいに考えていたのですが、読んでみて驚き。
経営組織論やリーダーシップ、そして人の幸福と仕事の生産性の関係などについて、
データを使った科学的分析を土台にして、わかりやすく書かれています。
すごく面白い。自分の関心テーマにストレートです。
特に、今読んでいる「第2章 ハピネスを測る」は文字通り、目から鱗の内容。
カリフォルニア大学リバーサイド校のソニア・リュボミルス教授との共同研究から明らかになったことが書かれています。
以下のようなシンプルな問いに対しての回答を集計・分析して見えてきたこと。
Q
1. 全般に、あなたは幸せな人でですか?
2. まわりの人に比べて、自分のことを幸せだと思いますか
結果 (幸せに影響を与える要因)
50% : 遺伝的要因
10% : 環境的要因(人との関係、お金、健康など)
40% : 日々の行動の習慣や選択(「自分から積極的に行動を起こしたか」が特に影響)
幸福感に遺伝的要因が大きなウェイトを占めるのは、いろいろな議論があるところだと思います。ただ、もっと驚きなのは、実に40%が、「日々、自分から主体的に何か行動をおこしたか」が本人の幸福感に大きな影響をあたえるという事実。行動の結果がどうかではなく、行動を起こしていることが影響度大だとのこと。
さらに著者は、「物理的な運動量(立ったり座ったり含め)」と「幸福感」自体も密接に関係するといいます。
すなわち、「社員が(物理的に)よく動く」会社は、幸福度が高く、その結果として生産性も高いというのです。
例えば、私の経験でいえば、会議の一例。
「誰もが座ったままで、表情もかたく、動きも殆ど見られない会議」
と
「皆が身振り手振りで意見を交換し、ホワイトボードの前に出てきたりしながら、積極的に動いている会議」
とでは、
明らかに後者の方が「幸福感が高く、生産性も高い」仕事ということですね。
動きの数と、人の幸福感が連動するというのも、当たり前のようで、データ解析によって裏付けされた重大な「再発見」かと。
著者も、そういう意味で昔の「全社運動会とその為の会社をあげての準備」にも、経営に好結果をもたらす理にかなった根拠があるのでは、と書いています。
あのスティーブジョブズも、創造的なミーティングをする場合は、「庭や公園を相手と一緒に散歩」しながら行うことが多かったと言います。
一方、パソコンの前で静かに座りながら作業をすることが多い会社は要注意ですよね。
私の今の最大のテーマは、「素晴らしい知恵や能力を持った知識労働者がいきいきと仕事をし、業績にも貢献できる経営体を創る」お手伝いをすること。こういう理論と実践方法について、さらに深く探求していきたいと思います。
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