「大きな目的・目標を共有しながらも、組織としては、『自律分散的に』動く」
これが、自分がここ7〜8年、一貫して考えている理想的な組織のありかた。
組織は、大きくなりすぎると、いろいろな非効率と誤った動きを生みだします。
「大企業病」などという浅い表現はさておき、組織が「部分最適」になり、全体としては「非効率」「無駄」そして「顧客軽視」になる実態は、多かれ少なかれ殆どの大企業で実感されていることのはずです。
「Small & Agile」
自分は、このコンセプトを一貫して「目指す組織・チーム」像においています。
組織全体としては大きくてもよいが、それぞれの活動チームは「小規模で、いきいきと、迅速に」動いている状態が理想。
本日、日曜の日経新聞朝刊には、この「自律分散」型社会が現実化していることを実感する記事が2つありました。
①まず、1面にある「働き方Next – 常識を疑え」というコラム
ばかばかしく高い家賃や人件費に見切りを付け、島根県川本町に拠点を移し、医療や法律などの専門書のネット販売事業で売上高を8年で6倍に伸ばした「エコカレッジ」が取り上げられています。売れる迄に時間がかかる専門書は保管場所が大きな悩み。東京の「100分の1」という島根の地で倉庫も借り、今や在庫は10倍の15万冊だといいます。これが業績成長を後押ししているのですね。
また、東京から1時間半の浜松に本社を置く、創業16年目のソフト開発企業「エリジオン」。正社員68人の正社員の半数が東大卒だそう。しかも、平均年収は1200万円を超えているとのこと。米ボーイングや独BMWなど大手顧客を世界に抱えている同社。場所にかかわらず、良い技術、良い理念を持っている会社には、多くの優秀な人が集まることが分かります。
「東京に魅力を感じなくなった若者が仕事のやりがいと豊かな生活を求めて地方に移っている」(明治大学 小田切徳美教授)
確かに、東京は服も、お店も、「画一的」なものが多くてつまらない。
地方の方が、人間の「アイディア」や「情熱」を感じられる商品、サービス、会社、場所が多いのは事実。
住む場所やライフスタイルも、ますます自律分散が進みそうですね。
② そして、もう一つの記事は、10面にある「ソニーが分社に託すもの」。
言うまでもなく、ソニーが分社化してどのようになっていくか、について展望が書かれています。ソニーすらも、「大きく、1つの『ソニー』として経営していくこと」はもはや限界。
もっと早く決断してもよかったくらいだと個人的には思います。
「ソニーという会社への誇りや求心力が薄れたり、人材を集めにくくなったりするのでは」という慎重論もあるらしいですが、そんなことを言っている人達が「ソニー神話に依存」したから、今の状態があるのでは。本当に伊深さんや森田さんの創業当時の「理念」を自分の意思で理解している人は、たとえ分社化しても、その持ち場持ち場で「ソニーイズム」を体現していくはずです。
記事にもありますが、ソニーの平井現CEOは音楽子会社出身。ゲームや映画など、現在のソニーを支える独創的な製品は殆ど全て子会社から生まれています。
「ソニー本社から出ると、社員たちの目の色が変わる」
記事にある、このコメントが、何より、現実を表していますね。
ますます現実味を増す「自律分散型の社会」。
自律分散になるからこそ、ますます「大きな目的」「大義」「ミッション」「行動規範」の共有が重要になります。
そういう意味で、自律分散型組織とは、ますます現場の「マネジメント人財」の力量が問われる時代でもあります。
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