昨日の日経新聞の文化欄に「哲学者アーレントに脚光」という記事が出ていました。
不勉強で、これまでアーレントについては殆ど知らなかったのですが、
■全体主義
■公共性
をテーマに思索し、その思想は現代の「企業不祥事」等の問題にも大きなヒントを示してくれるとのこと。現代社会に渦巻く「思考停止」に警鐘を鳴らしたひとです。
中でも、興味深いのは、「複数性」という概念。
いわく、「一人ひとりが違った見方で世界を眺めることで、初めて世界はまともな形で存在するという考え方」。
そして、引き続き記事によると、アーレントの主張は、
「みんなの意見が一致することよりも、それぞれが違った意見をぶつけ合っている状態の方が正常であり、全体主義はその破壊である」ということらしいです。
これは深く、本質を突いている気がします。
営利企業も、非営利組織も、スポーツチームも、学校も、全てにおいて、「意見をぶつけあっている状態」の方が、「意見が一致している状態」よりも勝っていると言っています。
その通りかもしれません。「意見が一致する」ことは人間組織である以上ほぼ不可能。むしろ、それぞれが「異なっていても、意見を率直に出し合っていることが大切」ということ。
もちろん、大きな目的感や使命感は大筋で共有したいところでしょう。しかし、そこに至る方法や、目的についての個別理解などは、全員で完全に一致することはありえない。一致させようとすると、あぶない。むしろ、意見をそれぞれが自由に、率直に言い合えることが大切だと思います。
非常に興味を持ちました。早速「ハンナ・アーレント」(中公新書)を購入。読んでみます!
この記事へのコメントはありません。