「目標管理」は「数字」から始めるな #572

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今日は、ビジネスパートナーとして企業へのマネジメント教育を共同開発している、株式会社アルヴァスデザインの高橋研社長(通称 研さん)と朝ミーティング@みなとみらい。

その中で出た話題の一つが、「目標管理」。
新期に入り、今頃は多くの会社で行われている時期でしょうか。

研さんから、質問。

「この目標管理の、成功のポイントって何ですかね。上手く行っているマネジャーの分かりやすい事例とかありますかね。」

(しばらく考えて・・)

私からの回答。

本当の意味での目標管理を成功させるには、『数字』から始めないことだと思います。」

ここから、いろいろ有意義なディスカッションに発展しました。

そもそも、目標管理って何でしょうか。
元々は、ドラッカーのこの言葉から来ています。↓

「Management By Objectives and Self Control」
(「目的と自己管理によるマネジメント」)

つまり、目的を明確にし、共有し、その実現に向けて個々人が自分自身で管理(自己規律)できる状態を作ることが最も有効なマネジメントだよ、という意味です。

これがいつからか、冒頭のMBOだけが切り出され、日本語訳では「目標管理」になり、「目標値の管理」「目標設定業務の管理」になってしまいました。大変な誤解です。

複雑で巨大なエクセルの記入シートや、重箱の隅をつつくような上司との面談に辟易としている人も少なくないでしょう。

そもそも、この「目標管理」で社員のモチベーションが下がっているとしたら、即刻その方法はやめた方が良いです。

で、冒頭の話に戻るのですが、本来の目的に立ち返るならば、いわゆる「目標管理」の場は、

「本来の仕事の目的を強く強く共有して、自分自身で日々の業務やゴールを設定・管理できるようになること」

のはずです。

その「目的」をイメージとして共有するとは、例えば、

「地域で一番口コミ紹介の多い住宅メーカーになる」
「日本で最もファンに愛される球団になる」
「子育てしているお母さんに最も頼りにされるウェブサービスを創る」

などなど。

会社にとっても、社員にとっても意義のある「事業の目的」を共有して、「では、そのために(それぞれの職務領域で)どのようなアイディアがあり、どのような行動ができるか」を、話し合いながら、最後に社員が自発的に考えて、挑戦できるようナビゲートしていくことが、不可欠です。

そのために、数字の話が邪魔になることがあるのです。

数字は、事業の成功の尺度を測る上では有効です。経営が頭の中でそろばんを弾く上でも当然、不可欠でしょう。しかし、くり返しになりますが、社員との対話においては

「数字の話は最後の最後」

であるべきです。

社員との目標共有の場で、最初から数字が前面に出すぎると、逆に会社が実現したい事業の目的から遠のくリスクがあります。そもそも、「数字、数字」と頭の中でそればかり考えている営業マンや社員から、買いたいお客さんなどいません。魅力的な事業目的に向かって、必死でそれを実現しようとしている姿勢や行動から、お客さんは買いたいと思うはずです。

「目標管理」においては、数字から始めない。目的のイメージを映像化できるぐらいクリアにし、社員がその目的によって動機付けられるようにし、自ら貢献したいという願望を引き上げてあげること。

その本質的な目的に意識を向けることで、マネジメントの仕事も、組織も、よりイキイキと生産的になるのではないでしょうか。

目標管理

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