書店で見つけたこの本を読みました。
こういう「本質」を扱う書籍は好きです。
アービンジャー研究所というアメリカユタにある研究所が執筆しています。
哲学者が創設に関わった異質の経営研究所。ビジネス、法律、経済、哲学、教育、心理学、の専門家が一堂に介し組織の諸問題の解決方法を研究しているとのこと。興味深いです。
本質に関する深い研究結果から導きだされた本書の問題提起は明快です。
・人間は、自分本来の感情(「本当はこうしてあげたい」「こう助けてあげたい」など)に反した瞬間に、自分の「箱」に入る
・ この、自分本来の感情に背くことを「自己欺瞞(ぎまん)」という。自己欺瞞により、人は「箱」に入る。
・ 一旦自分の感情をあざむき、箱に入ると、ますます自分を正当化して物事を見るようになるので、視点が歪む。自分を正当化し、自分の見方こそが正しいと考え、まわりを攻撃したり、批判したりすることに時間を使うようになる
・ 結果、そのような組織では、他の人も「箱」に入りやすくなる。事業の使命や目標に集中できない人が増えるので、業績もあがらない
問題解決の方法も、シンプルに本質について書かれています。まず、重要なことは、
「(箱に入っている状態の人に顕著な)まわりの人を「障害物」「単なる集団」と見なす事をやめ、自分と同じような感情やニーズを持っている「人間」として見るよう努める」ことだと言います。
世の中には、組織や人間関係をよくするツール、方法論、テクニック論があふれています。しかし、本質はもっとシンプルです。
けれど、シンプルな解決策に対して、人は「それができれば苦労しないよ!」とか「もっと成果を定量的に見えるようにしないと!」といってその本質からそれていきます。結果、ますます問題や施策が複雑になると私は思います。
この書籍には、上記のような「箱」の原則を、徹底的に社員教育に使っている会社の例が物語として描かれています。シンプルなことを徹底する大切さを教えてくれます。
私も日々発信していることですが、情報化、技術進化の激しい時代だからこそ、「会社は人間によって成り立っている」ということの原点回帰が必要だと思います。今の組織の諸問題は、「会社を機械的に統制・管理しようとしすぎる」ことから発生しています。
もう一度「人間」という原点にかえること。その大切さを教えてくれるおすすめの一冊です。
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